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天神にハッピーな森が出現! フィンランドのデザインユニット COMPANY展【レポート】

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浅野 佳子
2018/03/24
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フィンランドを拠点に、世界中で活動を行なっている、フィンランド人ヨハン・オリンと韓国人アーム・ソンによる、デザインユニットCOMPANY(カンパニー)。彼らのユーモラスでハッピーな展覧会が、福岡市天神の三菱地所アルティアムで始まりました。「Secrets」シリーズとして、現代のデザインと世界各地の伝統工芸の融合を試みている二人に、3/17に行われたオープニングレセプションで、作品づくりのヒミツについて、お話を聞きました。

デザインユニットCOMPANYのヨハン・オリン(左)とアーム・ソン(右)

 

森のヒミツをテーマにした理由

レセプションのあいさつでは、森についてのいくつかのエピソードを話してくれました。

「屋久島に行った時に、森の持つ圧倒的なパワーを、からだ全体で感じました。おにぎりをたった一つしか食べなかったのに、なんと6時間も歩きっぱなしだったのは、森のエナジーを受けたからに違いないと思います。
もちろんフィンランドの森も大好き。いまわたしたちは、柴犬のヤヤと暮らしているのですが、毎日散歩で森に入って、10キロほど歩きます。森の中にいると、あまりに森には色も形も食べ物も何でも存在するので、『わたしたちは何のためにデザインをするのだっけ?』と考えてしまうこともあるくらいです。
そうして、森を堪能して街に帰ると、そこには友達がいて、レストランや市場があって、おしゃれなカフェ(ヤヤも大好きなんです!)がある。わたしたちの愛すべき生活があるのです。そのどちらも大切なものなので、今回の展示は、森と街をつなぐようなコンセプトでつくりました。」

話の通り、一方の壁にはカラフルな街が、もう一方の壁には森のイメージが描かれ、その間に作品が展示されるという構成になっています。ぜひ現場でそのコンセプトを感じてみてください。

Secrets of Russiaシリーズよりマトリョーシカ《Tree of Life》

 

クラフトマスターとのものづくり

今回会場に並んでいる作品は、COMPANYがデザインし、世界各地の伝統工芸の職人が制作をしています。どのようにやり取りをしたのでしょうか?

「わたしたちは全ての言葉を操れるわけではないので、Google翻訳と絵でコミュニケーションをとります。会場の上に飾られているたくさんの絵は、わたしたちと彼らがやりとりをした痕跡です。ラブレターのようなものですね。もちろんたまに間違いやディスコミュニケーションはありますが、コツコツと伝え合えば、よい作品にたどりつくことができます。」

二人は職人のことを「マスター」と呼んでいて、この日のレセプションには、〈Moss Moss Chochin〉を手がけた、八女市の提灯マスター・伊藤権次郎商店の伊藤さんの姿も。二人とのプロジェクトはいかがでしたか?と聞くと「おもしろかったですよ!」とのこと。

〈Moss Moss Chochin〉

世界はどのように見えている?

さまざまな国のものが混ざっているはずなのに、どの作品からも不思議とCOMPANYテイストが醸し出されています。世界中のマスターと作品づくりをする彼らには、世界の違いと同じところ、どちらが目に入るのでしょうか?

「マスターたちは、よい人たちで、よいものづくりをしているという点で、みんな一つの家族のよう。遠く離れた国でも、似たものが見つかることがあるのが不思議です。例えば佐賀の長太郎人形に似た人形が、メキシコにもあります。メキシコのマスターに写真を見せたら、ビックリしていました。同じDNAがあるのかもしれないですね!」

 

九州ってどうですか?

今回は、九州のマスターとの作品もたくさんありますが、九州はどんな印象なのでしょう?

「九州の人は、ハッピーでリラックスしていて、hahahaって雰囲気の人が多い。まるでスペインみたいな明るさ!と感じました。伝統的なものへのプライドも強いし、みんなのキャラクターがユニーク。
それと九州の森は、ジャイアントブロッコリーのよう。同じ森でも鋭角的な北の森とは違いますね。そうそう、今回なぜ森をテーマにしたのかのもう一つの理由は、わたしたちが作品の素材として、木を使うのが好きだからという理由もあるんです。森を愛しているので、切った木を使うことに葛藤もあります。世界各地の木はそれぞれに、色や固さや質感が異なって、本当におもしろい素材です。」

 

二人のようにチャーミングでハッピーな気持ちになる作品が、まるで森の木のように並んでいる展覧会です。ぜひ足を運んでみてください。

 

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